中国人民銀行(中央銀行)は24日、市中銀行の預金準備率を0.5%引き下げると発表した。7月5日付で実施する。対象は国有大型商業銀行と株式制商業銀行、郵政貯蓄銀行、都市商業銀行、農村商業銀行(県域以外)、外資銀行の人民元建て預金。準備率を引き下げることで銀行の手元資金が計7000億元(うち国有大型商業銀行と株式制商業銀行が5000億元)増えると見込む。
預金準備率下げは今年4月以来。人民銀は今回の目的を企業の債務を株式に振り替える「債務株式化」の推進と小企業支援の拡大だとした。国有大型商業銀行5行と株式制商業銀行12行に対し、預金準備率引き下げによって厚くなる手元資金と市場で募集した資金を運用して債務株式化を実施するよう奨励する。債務株式化の実施主体が株主権利を行使して、コーポレートガバナンス(企業統治)に参与し、合わせて混合所有制改革を推し進めることを支持する。なお国有大型商業銀行5行は中国工商銀行(
01398/
601398)、中国農業銀行(
01288/
601288)、中国銀行(
03988/
601988)、中国建設銀行(
00939/
601939)、交通銀行(
03328/
601328)を指す。株式制商業銀行12行には中信銀行(
00998/
601998)、中国光大銀行(
06818/
601818)などが含まれる。
半面、人民銀は、預金準備率引き下げで増えた手元資金を「名股実債」や「ゾンビ企業」に使ってはならないとした。名股実債は「名目上はエクイティ投資だが、実際には債権」の意味。民間企業が官民パートナーシップ(PPP)事業に出資するものの、実は一定期間後に地方政府や傘下投資会社などが民間企業の出資持ち分を買い取る約束があるなどの手法を使う。中央政府の規制をかいくぐるため、民間企業の出資を隠れ蓑に地方政府の債務を増やす形だ。
一方、郵政貯蓄銀行と都市商業銀行、農村商業銀行などの中・小規模銀行に対し、預金準備率引き下げで増えた手元資金を重に小企業への融資に用い、小企業の資金調達が難しく、資金調達コストが高い問題の解消に寄与するよう求めた。