通信機器大手の中興通訊(
00763)は12日大引け後、同社に対する制裁の解除に向けて米商務省産業安全局(BIS)と交わした和解合意が8日に発効したと発表した。同社が最大14億米ドルの罰金を支払うことなどを条件に、BISが今年4月15日から再開した同社への輸出禁止措置を解除する。10億米ドルを6月8日からの60日以内に、今後違反が見つかった場合の追加罰金4億米ドルを預託金として90日以内に指定された口座に振り込む。制裁の解除は入金が確認された後となる見込みで、BISが改めて公表する。
中興通訊は4月17日からA株とH株の取引を一時停止したが、6月13日に取引を再開する。また、4月15日から再開したBISの制裁による影響を評価した上、2018年1−3月期決算を改めて作成・発表する予定。BISによる制裁の解除次第、経営活動を再開するとした。
中興通訊は17年3月、イランや北朝鮮への米国製品の違法輸出を認めて、8億9200万米ドルの罰金を支払うことでBISと和解。これにより、中興通訊は米国企業との取引を7年間禁じる制裁の適用を免れていたが、米務省は18年4月、中興通訊による虚偽説明を理由に制裁を再開した。BISと交わした今回の合意は、17年合意を代替するものになる。
今回の合意ではこのほか、◇BISは新たに中興通訊と米国企業の取引を6月8日から10年間禁じる制裁措置を講じるが、10年間を監視期間とし、中興通訊が和解合意を順守することを条件に執行を猶予する◇中興通訊が取締役を6月8日から30日以内に全員入れ替える◇中興通訊が現高級副総裁以上の経営職や、BISへの虚偽説明などに関わった経営職、管理職との雇用契約を解除する◇監視期間中に中興通訊が米貿易法令を順守しているかを常時監視する担当者を設け、費用を中興通訊が負担する◇米貿易法令の順守に関する監査報告をBISに提出する――など。