11日の香港市場は、ハンセン指数が心理的節目の31000ポイントを試す展開か。米株高が引き続き投資家心理の改善につながりそうだ。前日のNY市場でダウ平均は6営業日続伸。4月の米消費者物価指数(CPI)が弱い内容だったことを受け、利上げベースの加速観測が後退し、買い安心感が広がった。ハイテク比率が高いナスダック総合が5営業日続伸して約2カ月ぶりの高値で終えたことや、中東情勢不安を受けた原油相場の先高観も、香港市場の関連銘柄の買いを誘う可能性がある。これに加え、米長期金利の上昇が一服し、香港を含む新興国市場からの資金流出懸念が和らぎそうだ。
ただ、香港市場の売買代金が低水準にとどまっていることが気がかりだ。前日の売買代金も900億HKドル台にとどまった。米中貿易摩擦といった懸念材料が根強く残る中、投資家は慎重な姿勢を崩していない。31000ポイント付近の上値の重さが意識されれば、これまでハンセン指数が4日続伸しただけに、目先の利益をいったん確定する売りが相場を押し下げる可能性がある。また、このところの本土株高も地合いを支えているが、前日に上海総合指数は約1カ月ぶり高値を付けた。香港市場と同様に利益確定売りが出やすい状況にあり、きょうの本土市場の動きが注目される。
10日の香港株の米国預託証券(ADR)はHSBC(
00005)、テンセント(
00700)、AIAグループ(
01299)、中国建設銀行(
00939)、中国平安保険(
02318)など主力株が総じて香港終値を上回った。香港株のADRにサヤ寄せすれば前日終値を約250ポイント上回る水準で寄り付くことになる。