20日の香港市場は米株安の流れを引き継ぎ反落スタートか。前日のNY市場でダウ平均が続落し、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数も4日ぶりに反落した。半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が示した4−6月期業績見通しが市場予想を大幅に下回ったことを受け、スマートフォンやスマホ向け半導体需要が弱まっているとの見方からアップルや半導体銘柄が大きく下落した。香港市場のスマホ部品メーカーやIT関連株に売りが波及しそうだ。加えて、IT分野を巡って米中の貿易紛争が激化する警戒感も高まっており、相場の重しになろう。
また、米長期金利の上昇基調の強まりも、香港からの資金流出懸念に拍車をかけそうだ。香港ドルの対米ドル相場は6営業日連続で許容変動幅の下限付近で推移しており、香港金融管理局(HKMA)が計13回にわたって香港ドル買いを実施した。当局は外資などによる大規模な香港ドル売りがみられていないとの見解を示したものの、市場では20年前のアジア金融危機の再来を危惧する声すら出ている。
一方、本土市場が堅調に推移すれば、相場を下支えする可能性がある。中国人民銀行(中央銀行)が預金準備率引き下げ発表に続き、18日から連日で大規模な資金供給オペを実施した。A株のMSCI新興国指数への組み入れを念頭に入れた措置との見方も浮上しており、A株の上昇がすれば香港上場の本土銘柄の買いにつながる可能性がある。
19日の香港株の米国預託証券(ADR)は、主力株ではテンセント(
00700)、中国建設銀行(
00939)、中国工商銀行(
01398)、ペトロチャイナ(
00857)、中国平安保険(
02318)などが香港終値を下回った半面、HSBC(
00005)が上回って引けた。香港株のADRにサヤ寄せすれば、ハンセン指数は前日終値を80ポイント近く下回る水準で寄り付くことになる。