12日の香港市場は様子見ムードが広がり、方向感に乏しい展開か。シリアの化学兵器使用疑惑を巡り、トランプ米大統領が「ロシアはシリアに向けて発射されたミサイルを全て撃ち落とすと表明した。用意していろロシア、なぜならミサイルは飛んでいくからだ」などとツイッターに投稿した。これを受け、国連安全保障理事会が米時間12日午前に非公開の緊急会合を開く。結果を見極めたい投資家は、持ち高を積極的に傾けにくいとみる。
11日のNY株式相場は、米露の緊張の高まりが嫌気され、ダウ平均など主要3指数がそろって反落した。同日発表された米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録が、全てのメンバーが景気とインフレの上昇を予想するややタカ派的な内容だったことで、米利上げ加速も警戒された。一方、香港市場ではハンセン指数が11日までの4連騰で1379ポイント(4.5%)上昇しており、いったん利益を確定する売りが出やすい状況。心理的節目の31000ポイント付近で上値が重くなりそうだ。
もっとも、エネルギー株や金融株の上昇が相場を下支する展開がありそうだ。地政学リスクを背景に11日のNY市場で原油先物相場が3日続伸したことで、石油銘柄に業績改善の思惑買いが入ると予想する。中国人民銀行(中央銀行)の易剛行長が金融分野の外資規制緩和のスケジュールを示したこも引き続き材料となろう。11日の香港株の米国預託証券(ADR)は、国際金融銘柄のHSBC(
00005)とAIAグループ(
01299)、中国石油メジャーのペトロチャイナ(
00857)とシノペック(
00386)、CNOOC(
00883)が香港終値を上回った。半面、中国IT大手テンセント(
00700)、香港系不動産デベロッパーの恒基兆業地産(
00012)が下回って引けた。