9日の香港市場で中国政府系ビール会社の華潤ビール(
00291)が大幅高。株価は日本時間午前11時40分現在、前日比11.18%高の34.30HKドルで推移している。オランダの同業であるハイネケンの中国事業を取得する交渉に入ったと伝わり、買いを集めているもよう。
ロイター通信は8日、消息筋の話として、ハイネケン中国事業の買収額が10億米ドルを超える見込みだと伝えた。広東省と海南省、浙江省の醸造所3カ所や、ハイネケンの中国での販売業務とブランド権利の取得を目指しており、株式交換を協議しているという。華潤ビールとハイネケンはともにコメントを控えている。
華潤ビールの「雪花 Snow」は中国ビール市場で最大のブランドで、売り上げは世界一だが、販売は中国国内にほぼ限定されている。一方、ハイネケンは1983年に中国市場に進出したが、業界関係者によると販路の構築と「ハイネケン」ラガービールのブランド確立で苦戦し、高級ビール市場でビール世界最大手アンハイザー・ブッシュ・インベブの「バドワイザー」に大きく引き離された。中国での市場シェアはハイネケンが0.5%、華潤ビールは25%を超える(2016年、ユーロモニター・インターナショナル調べ)。
中国は世界最大のビール市場だが、売り上げは2013年以降、縮小が続く。しかし、利幅が大きい高級ビールの売り上げは年率2桁で伸びている。最高級ラガービールのブランドを持たない華潤ビールは、「ハイネケン」ブランドを手に入れ、成長市場に参入する戦略とみられる。