5日開幕した中国の全国人民代表大会（全人代）で、李克強首相は政府活動報告を行った。2018年の国内総生産（GDP）の目標を昨年と同じ6.5％前後に維持した。引き続き供給側構造改革を主軸として、改革開放を進めて質的な変革を促進する。金融危機など重大なリスクの防止と貧困対策、汚染防止に力を入れ、経済と社会の持続的で健全な発展を図る。

　GDP以外の主な目標は次の通り。消費者物価伸び率3％前後、都市部新規就業者1100万人以上、都市部調査失業率5.5％以下、都市部登記失業率4.5％以下、国民の増収と経済成長は基本的に同率、貿易は穏健に拡大して国際収支が基本的に均衡、単位GDP当たりエネルギー消費を3％超削減。

　政府活動報告が示した2018年の供給側構造改革の政策要旨は次の通り。

　 ■経済発展の新たな原動力を発展させる。新興産業の拡大と強化に向け、ビッグデータの振興措置と、新世代人工知能（AI）研究・応用の強化を行う。医療や養老、教育、文化、スポーツなどの多くの分野で「インターネット＋」を推進。インターネットの高速化と費用引き下げに一段と力を入れ、全ての都市と農村をカバーする高速ブロードバンドを実現し、無料でネット接続できる公共の場所を拡大する。家庭のブロードバンドや企業のブロードバンドと専用線の使用料金を引き下げ、データ量に応じたローミング料金を撤廃し、モバイル・インターネットのデータ量ベース料金を年内に30％以上削減する。

■「製造強国」の建設を強化。集積回路（IC）や第5世代（5G）移動通信、航空機エンジン、新エネルギー車、新素材などの発展を推進。不足している設備の製造を促進し、産業インターネット・プラットフォームを発展させて「中国製造2025」モデル地区を創設する。

■無効な供給の廃止を継続。環境保護や品質、安全基準などの法規を厳格に執行することで生産能力の過剰を解消し、劣後設備を淘汰する。今年の生産能力の削減目標は鉄鋼が3000万トン前後、石炭が1億5000万トン前後。基準に達しない出力30万キロワット以下の石炭発電設備は運転を停止する。「ゾンビ企業」の破産清算処理に力を入れる一方、従業員の再就職と債務処理を進める。

■企業の税負担を軽減。企業が新たに購入した機器・設備の税引き前控除上限を大幅に引き上げる。企業の海外所得の総合控除政策を実施。物流企業の倉庫用地の税制優遇を拡大。企業と個人の通年減税額は8000億元を超える。

■企業の税金以外の負担を軽減。送電網接続料金と送配電価格を引き下げ、一般商工業電気料金を平均10％下げる。高速道路料金制度改革を深化させ、道路と橋の通行料を下げる。非税金負担の市場主体の軽減額は通年で3000億元を超える。