香港証券取引所(
00388)は23日、メインボード上場規則の改定案を公表した。イノベーションが起きている新興産業からの誘致を強化するため、3タイプを対象に上場基準を緩和する。最も注目されるのは、普通株より議決権の多い「種類株」を発行する加重投票権(WVR、Weighted Voting Rights)構造企業の上場を認めること。さらに、収益を未だ上げていないバイオ企業の新規上場や、英米に上場している大中華圏・国際企業のセカンダリー上場を促進する。
香港証取は改定案に対するパブリックコメントを3月23日まで聞き取り、4月下旬に改定を実施して上場申請の受け付けを始める見通し。今回の改定案は、おおむね昨年12月に発表した「創業板」創設方針に沿っている。香港証取の李小加最高経営責任者(CEO)は「香港が新世代企業と投資家を引き付ける力を強め、株式市場がいっそう活性化する」と述べた。
WVR構造企業の上場基準は通常よりも厳しくした。時価総額が100億HKドルを超えるか、時価総額が400億HKドルに満たない場合は上場前の年間売上高が10億HKドルを上回る必要がある。さらに、別途設定するガイダンスに照らして「イノベーティブ」であることが求められ、新規上場のみを認める。
WVR構造についても一定の制限を課す。種類株1株当たりの議決権は普通株の10倍を上限とし、上場後に議決権種類株の比率を増やすことは認めない。一方、非WVR株主が議決権の10%以上を保有しなくてはならない。また、銘柄コードにWVRであることを示す「W」を付けて普通株と区別する。
低分子医薬やバイオシミラーを手掛ける製薬会社医療機器メーカーなどの革新的バイオ企業については、赤字でも上場を認める。ただし、時価総額が15億HKドル以上で、現行事業を同じ経営陣の下で2年以上続けていることなどを条件とする。リスク管理のため、銘柄コードの末尾に「B」を付け、中核事業を変更するには香港証取の承認が必要となる。
香港セカンダリー上場を認めるのは、ニューヨーク証券取引所(NYSE)やナスダック、ロンドン証券取引所のメインマーケット(「プレミアム」に限定)に少なくとも2年上場している企業。時価総額100億HKドル以上が条件となる(時価総額が400億HKドルに満たない場合は上場前の年間売上高が10億HKドル以上)。