30日の香港市場は売りが先行か。相場上昇の要因だった米ドル安が一服した上、米長期金利の上昇に伴い、米国からアジア・新興国市場への資金流出の鈍化が警戒されそうだ。長期金利の指標となる米10年物国債利回りは29日に一時2.72%まで上昇(債券価格は下落)し、2014年4月以来ほぼ3年9カ月ぶりの高水準となり、同日の米株式相場はダウ平均など主要3指数がそろって反落した。同日の香港株の米国預託証券(ADR)は中国IT大手のテンセント(
00700)や大型金融株の中国建設銀行(
00939)、中国工商銀行(
01398)、中国平安保険(
02318)が香港終値を下回った半面、長期金利上昇による利ざや拡大が期待できるHSBC(
00005)が上回って引けた。
前日の上海総合指数の反落も投資家心理を冷やすだろう。中国人民銀行(中央銀行)は29日まで3営業日連続で公開市場操作を見送り、リバースレポ(売り戻し条件付き債券購入)の償還に伴い銀行間市場から資金を吸収している。あすは中国国家統計局が1月の購買担当者景気指数(PMI)を発表する予定で、市場に様子見ムードが広がる展開がありそうだ。
もっとも、香港市場では株式相場の中長期的な先高観が根強く、相場の下げは限定的と予想する。押し目到来を望んでいた投資家は、前日のハンセン指数の反落を強気相場のなかの調整と受け止め、買いを入れる可能性がある。10日移動平均(29日終値時点で32532.32ポイント)が下値支持線として意識されるだろう。上海総合指数も前日終値が心理的節目の3500ポイントに近い水準に落ち込んだこともあって、下値を売り込む動きは限定的とみる。