11日の香港市場は軟調な展開か。前日のハンセン指数は12営業日続伸して過去最長の連騰記録を更新し、10年2カ月ぶりの高値圏にあるだけに利益確定売りが相場を押し下げると予想する。香港ドルの対米ドル相場の下落や米長期金利の上昇を受け、資金流入の鈍化も警戒されそうだ。一部メディアが「中国政府が米国債の購入削減や停止を検討している」と伝え、10日の米債券市場では長期金利の指標である米10年物国債利回りが一時2.59%と10カ月ぶりの高水準をつけた。同日のNY株式相場は、ダウ平均など主要3指数がそろって下げた。
もっとも、相場の下値は堅いと予想する。ハンセン指数が心理的節目の31000ポイントに近づく水準で下げ渋る展開がありそうだ。同指数は欧米株式市場の主要指数に比べ、依然として割安な水準にあり、中長期的な先高観は根強い。中国人民銀行(中央銀行)が10日、13営業日ぶりに公開市場操作(オペ)を通じた資金供給を再開したことも投資家心理を支える材料となろう。
また、米長期金利の上昇により利ざやと投資収益の拡大が見込める金融株や、原油先物相場の続伸が業績改善につながる石油株が買われれば、相場の下支えとなる。29日の香港株の米国預託証券(ADR)は、テンセント(
00700)や中国建設銀行(
00939)、中国工商銀行(
01398)など大型株が総じて香港終値を下回ったものの、国際金融銘柄のHSBC(
00005)とAIAグループ(
01299)が上回って引けた。