10日の香港市場は、前日の欧米株安の流れを引き継いで売りが先行か。北朝鮮と米国との軍事衝突の可能性が引き続き意識され、投資家がリスクを取りにくいと予想する。主要通貨に対する米ドルの総合的な強さを示すドルインデックスが足元で反発しているため、香港を含む新興国市場への資金流入にブレーキがかかりそうだ。有事に買われる米国債の価格が上昇(金利は低下)すれば、銀行の利ざや縮小が懸念され、金融セクターで売り圧力が高まるだろう。
もっとも、下値を売り込む動きは限定的となりそうだ。香港市場では北朝鮮リスクによるハンセン指数の調整は短期的との声が聞かれ、10日平均(9日終値時点で27497.82ポイント)が下値のめどとされる。決算発表や業績見通しを手掛かりとする個別銘柄の物色が続くなか、8−9日のメインボード売買代金は連日で1000億HKドル近い高水準だった。中国本土市場との相互取引制度を通じた香港株取引も買い越しが続いている。なお、きょうはハンセン指数構成銘柄のチャイナ・モバイル(
00941)が2017年6月中間決算を発表する予定。
NY市場では、9日はダウ平均とナスダック総合がともに続落したものの、ティラーソン米国務長官が北朝鮮との対話の姿勢を強調したことで終盤は落ち着いた値動きとなった。原油先物相場が3営業日ぶりに反発したことも関連銘柄の買い材料となろう。同日の香港株の米国預託証券(ADR)は高安まちまち。中国本土系銀行の中国工商銀行(
01398)と中国銀行(
03988)、香港コングロマリットの新世界発展(
00017)が香港終値を下回った半面、保険株のAIAグループ(
01299)と中国平安保険(
02318)、中国IT大手のテンセント(
00700)は上回って引けた。