香港証券取引所(
00388)は16日、上場を認める企業の範囲拡大を目的に「創新板(ニューボード)」を新設する諮問案を公表した。新規株式公開(IPO)の市場として世界でトップの地位にありながら、中国本土企業やニューエコノミー・セクターの高成長企業が香港以外での上場を選択したケースがあった点を反省。まだ利益を出していない企業や非標準な統治構造を採用する企業、香港での第2上場(セカンダリー上場)を望む中国本土企業を受け入れる創新板を設置することで、ニューエコノミー・セクターの企業を誘致するとした。香港証券取引所は諮問案に対する一般から意見を8月18日まで聞き取る。
創新板は「創新主板(ニューボード・プレミアム)」と「創新初板(ニューボード・プロ)」の2つの区分を持つ。創新主板は一般投資家が売買できる市場で、メインボードの規則が適用される。創新初板は上場基準がやや緩く、機関投資家だけが売買できる。両区分とも、市場の質を保つため、すばやい上場廃止が可能な制度を設ける。
アリババ・グループ(BABA)は2013年に香港上場を検討したものの、上場後も馬雲・会長らの支配権を維持するため要求した「パートナー制」を、全株主が公平な権利を持つ原則を重視する香港証券取引所が認めず、交渉が物別れに終わった経緯がある。創新板が実現すれば、こうした特殊な統治構造を持つ新興IT企業などの香港上場が可能になる。