12日の香港市場は売り先行か。シリアや朝鮮半島の緊迫感が増し、投資家が運用リスクを取りにくい環境が続きそうだ。中国本土できょう物価統計、あすには貿易統計など主要経済指標の発表を控え、様子見ムードも広がろう。加えて、新興国から米国への資金還流懸念がくすぶるなか、米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長がこのほど講演で、緩やかな利上げを続けると同時に、保有資産の縮小に取り組む姿勢をあらためて示したことも、市場心理を冷やす可能性がある。
ただ、下値では底堅く推移するとみる。ハンセン指数は前日までの4日続落で約1カ月ぶり安値を付けた後で、値ごろ感の出た優良銘柄を中心に押し目買いが入りやすい環境になっている。このほか、米国で明日から本格化する決算発表シーズンを前にした企業業績改善への期待感や、足元の原油相場の上昇基調などが相場を下支えすると予想する。
11日の香港株の米国預託証券(ADR)は高安まちまち。時価総額の大きいHSBC(
00005)、テンセント(
00700)、AIAグループ(
01299)が香港終値を上回って引けた。半面、中国工商銀行(
01398)、中国銀行(
03988)、中国人寿保険(
02628)など本土系金融大手が下回って引けた。