山東羅欣薬業(
08058)は13日大引け後、同社執行取締役の劉振騰氏らから非公開化の提案を7日に受け取ったと発表した。劉振騰氏が香港の投資会社アライ・ブリッジ・フラッグシップと共同で山東羅欣薬業H株を現金で買い取るTOB(株式公開買い付け)を実施し、香港証券取引所に上場廃止を申請する計画。1株当たり買取価格は17.00HKドルと、6日終値の12.90HKドルに対し31.78%のプレミアム付きに相当する水準。買取額は計23億4300万HKドルに上る見通し。
山東羅欣薬業は7日から株式取引を停止していたが、14日現地時間午前9時に取引を再開した。株価は日本時間午前11時27分現在、前日比25.12%高の16.14HKドルで推移している。
山東羅欣薬業の非流通株と、劉振騰氏らの共同保有者が持つH株はTOB対象とはならない。劉振騰氏らと共同保有者は現時点で非流通株3億4800万株(非流通株の78.10%)とH株3200万株(H株の19.49%)を保有しており、持ち株比率は計62.28%。
計画実施には臨時株主総会での承認が必要となる。山東羅欣控股有限公司(持ち株比率65.85%、全て非流通株)など劉振騰氏らの共同保有者である株主は、臨時株主総会での決議には投票しない。劉振騰氏は山東羅欣薬業の創業者会長で実質的筆頭株主である劉保起氏の子息。
山東羅欣薬業は2005年に上場した。2015年以降は医薬品の調達入札価格が下落傾向にあるほか、行政による医薬処方や医療保険費の抑制、後発薬の品質監督、医薬登録審査の改革などの影響で経営環境が厳しくなっている。劉振騰氏は、同社が短期的な投資回収を求める株主の意向に左右されずに長期的観点から投資と事業運営を行うため、非公開化が適切だと説明した。また、上場廃止後も現経営陣の下で現有事業を継続する方針を示した。