10日の香港市場は2月の米雇用統計の発表をきょうに控え様子見気分の強い展開になると予想する。市場では同統計の発表後、14−15日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げを決めるとの見方が広がるなか、結果を見極めたいとして投資家がリスク回避の姿勢を強める可能性が高い。足元の米長期金利の上昇基調も加わり、中国からの資金流出への懸念があらためて意識され、相場の重しとなろう。
一方、中国では全国人民代表大会(全人代)が開催中とあって、中国の政策への期待からの買いが一定の下支えになりそうだ。きょうは中国人民銀行(中央銀行)による金融改革と発展、国家工商総局による商業制度改革に関する記者会見などが予定されており注目が集まりそうだ。また、ハンセン指数は前日に4日ぶりに反落し、1カ月ぶり安値を付けた(下落率は今年に入って最大)後とあって、値ごろ感の出た優良銘柄への買い戻し、決算発表や業績予想を手掛かりとした個別物色などが入りやすい相場環境にある。
9日の香港株の米国預託証券(ADR)は時価総額の大きいHSBC(
00005)、チャイナ・モバイル(
00941)が香港終値を上回って引けた半面、中国IT大手のテンセント(
00700)、エネルギー大手のペトロチャイナ(
00857)、中国神華能源(
01088)のほか、本土系金融大手の中国銀行(
03988)、中国人寿保険(
02628)が軒並み香港終値を下回って引けた。香港株のADRにサヤ寄せすれば、ハンセン指数は前日終値を60ポイント近く下回る水準で寄り付くことになる。