5日開幕した中国の全国人民代表大会（全人代）で、李克強首相は政府活動報告を行った。実質経済成長の目標を6.5％前後に設定し、前年の目標の6.5−7％から引き下げた。2017年も引き続き「積極的な財政政策と穏健な金融政策」「穏中求進（安定の中で前進をめざす）」を政策の基調とする。経済社会の大局的な安定維持を前提に、改革と構造調整を進め、主要分野で新たな進展を達成する方針を示した。

　政府活動報告が示した供給側改革の2017年重点政策の要旨は次の通り。

■実効のある生産能力削減：2017年に鉄鋼の生産能力を5000万トン前後縮小し、石炭生産能力を1億5000万トン以上削減する。同時に、石炭発電能力を5000万キロワット以上縮小して余剰リスクを回避し、クリーンエネルギーを拡大する余地を大きくする。環境保全や省エネルギー、品質・安全などの基準を厳格に執行して市場機能と法的手段で「ゾンビ企業」に対処し、企業の統合再編と破産処理を推進。老朽施設の淘汰と供給過剰産業での生産能力増強の抑制を行う。

■各都市の需給に応じた住宅供給：住宅在庫が依然として多い小都市では、住民や都市に移住してきた人の住宅需要に対応する。地方政府が責任を持って不動産市場を健全に発展させる長期的な制度を作り、多様な需要に応える。住宅価格の上昇圧力が大きい都市は、宅地供給を増やし、開発、販売、仲介などの規制を緩和。スラム街の再開発では600万戸の改修を2017年に完了する。

■デレバレッジ（資産・負債圧縮）と直接金融の拡大：中国では金融機関以外の企業のレバレッジ率が高く、資金調達に占める借入金の比率が大きい。レバレッジ率引き下げへ向けて既存資産の活用や資産証券化、債務の株式化（デット・エクイティ・スワップ）などでエクイティ・ファイナンスを強化する。

■コスト軽減：企業が負担する社会保険料や住宅積立金の比率を引き下げる。

■民生改善：公共サービス、インフラ施設、資源環境を整備する。